編み地コレクション第6作めは、「玉編み」の技法を用いた編み地をご紹介します。
「玉編み」とは、未完成の目を一度に編むことで立体的な模様を作り出す技法で、かぎ針編みの模様編みの中では、出番がわりと多くある編み方になります。
「玉編み」の記号には、大きく2種類の違いがあります。
編み目記号の下が完全に閉じている記号は、前段の編み目1目に「玉編み」を編み入れる記号です。
編み目記号の下が離れている記号は、前段の鎖目にすっぽりとかぎ針を入れて「玉編み」を編む記号です。
似たような記号ですが、下が閉じた記号であれば、前段が「鎖編み」であっても1目に編み入れる編み方になるので、注意してください。
「玉編み」目は、マフラーやセーター、手袋など様々な作品の編み地におすすめの編み方です。
編み図と編み方をご紹介します。
1.1目に編み入れる「長編み3目の玉編み」の編み方
1.編み図
「鎖編み」の作り目17目から編みはじめ、前段の「玉編み目」の頭を拾って編む模様です。
2.編み方
1.「鎖編み」の作り目を17目編む
編み地を編むかぎ針より、1号大きいかぎ針で作り目を編むと、目を拾いやすくなります。ここでは編み地を3号のかぎ針で編むので、作り目を4号のかぎ針で17目編んでいます。
2.1段めを編む
かぎ針を3号に変更して、立ち上がりの「鎖編み」3目と「鎖編み」1目を編み、作り目の3目めに、糸をかけたかぎ針の針先を入れて、糸を引き出します。
さらに糸をかけて、かぎ針にかかっている2つのループに針先を通して糸を引き抜き、未完成の「長編み」を1目編みます。再びかぎ針に糸をかけて、作り目の同じ目に針先を通し、糸を引き抜きます。
さらに糸をかけて、かぎ針にかかっている手前から2つのループに針先を通し、2目めの「長編み」も未完成のままかぎ針にかけておきます。この時点で合計3つのループが、かぎ針にかかっています。
同様に3つめの未完成の「長編み」を編み入れます。合計4つのループが、かぎ針にかかりました。
最後は針先に糸をかけて、かぎ針にかかっている4つのループを1度に引き抜きます。「長編み3目の玉編み」が1つ編めました。
続けて、「鎖編み」を2目編みます。
作り目を2目飛ばして、3目めに「長編み」を編み入れます。
再び「鎖編み」を2目編み、作り目を2目飛ばして、3目めに未完成の「長編み」を3目編み入れます。
針先に糸をかけて、4つのループを1度に引き抜き、「玉編み目」を編みます。
引き続き、「鎖編み」2目→「長編み」1目→「鎖編み」2目→「玉編み」1目を繰り返し、1段めを完成させます。
3.2段めを編む
立ち上がりの「鎖編み」3目+「鎖編み」1目を編みます。
かぎ針を軸に編み地を反時計回りに回転させ、かぎ針に糸をかけて前段の「玉編み目」の頭に針先を入れ、糸を引き出します。2段めは裏側の編地になりますが、裏から見ると「玉編み」の頭が左側(画像の→の箇所)になるので注意してください。
未完成の「長編み」を3目編み入れます。
針先に糸をかけて4つのループを引き抜き、「玉編み」を1つ編みます。
続けて、「鎖編み」2目→前段の「長編み」の頭を拾って「長編み」1目→「鎖編み」2目→前段の「玉編み」の頭を拾って「玉編み」1目を繰り返し、2段めを完成させます。2段めの端は、立ち上がりの「鎖編み」3目めの、半目と裏山の2本を拾って「長編み」1目を編み入れてください。
同様に、4段めまで編むと「長編み3目の玉編み」の編地完成です!
「玉編み」の頭を拾うので、左右に少しずれてしまいます。
これを解消するために、「玉編み」を編んだ後、引き締めの「鎖編み」1目を編む方法もあります。引き締めの鎖を編んだ場合は、次の段からは引き締めの鎖の頭を拾って「玉編み」を編み入れてください。
2.鎖編みに編み入れる「長編み3目の玉編み」の編み方
1.編み図
「鎖編み」の作り目11目から編みはじめ、前段の「鎖編み」にすっぽりとかぎ針を入れて編む「玉編み」模様です。1段めは、1目に編み入れる「玉編み」で編んでください。
2.編み方
1.1段めを編む
編み地を編むかぎ針より、1号大きいかぎ針で作り目をすると、目を拾いやすいです。ここでは編み地を3号のかぎ針で編むので、作り目を4号のかぎ針で編んでいます。
4号のかぎ針で作り目を11目編んだら、かぎ針を3号に変更し、立ち上がりの「鎖編み」3目と「鎖編み」1目、作り目の3目めに「長編み3目の玉編み」を編み入れます。
そのまま編み図通りに続けて編み、1段めを完成させます。
2.2段めを編む
立ち上がりの「鎖編み」3目と「鎖編み」2目を編んだら、前段の「鎖編み」にすっぽりとかぎ針を入れて糸を引き出し、未完成の「長編み」を3目編み入れます。
針先に糸を通し、かぎ針にかかっている4つのループを引き抜いて「玉編み」を編みます。
続けて編み図の通りに編み進め、2段めを完成させます。端は「鎖編み」3目めの、半目と裏山の2本を拾って「長編み」を編み入れてください。
同様に、4段めまで編むと「長編み3目の玉編み」の編地完成です!
「鎖編み」を、すっぽりと覆った「長編み3目の玉編み」が編めました。
1目に編み入れる「玉編み」と、鎖目に編み入れる「玉編み」を比較してみました。
いかがでしょうか。個人的には、1目に編み入れる「玉編み」のほうが、足元が引き締まって、より「玉編み」目がふっくりとするような感じがします。
ちなみに。。未完成の編み目を複数目まとめて1目に編む編み方を「玉編み」と呼ぶので、未完成の編み目が2目でも5目でも「玉編み」となります。
以下に、1段め「長編み2目」2段め「長編み3目」3段め「長編み4目」4段め「長編み5目」の「玉編み」を編んでみました。
実際に作品で使用するときには、編み入れる未完成の目が多い「玉編み」ほど、下地となる鎖目の数を増やして編んでください。例えば「長編み5目の玉編み」の場合は、下地となる「鎖編み」は3目編むことをお勧めします。
次回は「中長編み3目の玉編み」と、「変わり中長編み3目の玉編み」2種類の編み方をご紹介します。
追記:
・「長編み3目の玉編み」を使って、モチーフを編みました。